第467号 ご 馳 走 さ ま で し た  上 州 武 尊 山 !


第467号
ご 馳 走 さ ま で し た 上 州 武 尊 山 !
2014年9月27日
AAC会員
門田 元氏

先日(9月21日)、群馬県川場村で開催された「第1回上州武尊山スカイビューウルトラ
トレイル」に参戦してきました。(武尊山=ほたかやま)
距   離 : 120km
累積標高 : 約8300m
制限時間 : 34時間
エ イ ド : 7ヶ所
参加資格 : 2年以内に50km以上のトレイルレースを2回以上完走
必携装備 : マップ・コンパス・携帯電話・携帯カップ・水・ライト(2個)
予備電池・サバイバルブランケット・テーピング・携帯食料
レインジャケット・レインパンツ・防寒着(フリースなど)
グローブ(フィンガーレス不可)・ファーストエイドキット
ポイズンリムーバー・保険証・身分証明証・必要最小限の現金

結果は、完走時間 : 22時間32分46秒
総   合 : 69位/563人中
年 代 別 : 21位/216人中             完 走 率 : 68.4%
完走者/出走者 : 385人/563人

プロトレイルランナー : 鏑木氏プロデュース
「国内初のヨーロッパ型本格山岳レース」と銘打った、
超ドM高速登山家たちの夢の祭典。

下記の様に距離(累積標高)を比較しても、かなり食べごたえのある
素晴らしいコース料理でした。
上州武尊山 : 120km  (8300m)
UTMB    :  68km  (9600m)
UTMF    :  169km  (9500m)
六甲全山   : 公称56km(2800m)

そして、踏み跡のない新たに切り開いた荒れたトレイルに、鎖場直登や長い沢登り、
夜間走行のパートも長いなど総合的な山岳力が必要なこのレース。そしてそして、
エントリー終了後にも関わらず、大会事務局側から前代未聞のアナウンスが!
『出場辞退を受け付けます。喜んで返金しますので、安易にエントリーした方もいるか
と思います。他のトレラン大会の延長と考えてる方もいるかと思います。
鏑木さんからも、他の大会とは全くレベルが違うので、呼び掛けて自信の無い人は止
めてもらった方がよいと。決して臆病でも何でも無く、事務局側も怪我人は50名に留
めておきたいです。』
後日、ホームページからエントリー辞退フォームを掲載します。」と…。
それを受けて辞退者も多く出たとの事ですが、逆に私を含む超ドM高速登山家たちの
闘争心は、激しく奮い立たされた事は間違いありません。
タイムは当初24時間以内を目標としていたので良かったとも思ったのですが、さすが
にエリート高速登山家たちが集結した大会。順位は予想していたポジションよりもはる
かに下回ってしまいました。

スタートは午前5時。120kmの間に8つのピーク(山頂、峠)を越えなければなりません。
まずはスタートである標高500m地点から、18kmの区間を標高2000mの剣ヶ峯山頂
まで標高差1500mを一気に駆け上がります。最初の1時間は暗いのでハンドライトを
取り出してトレイルに入ります。両手も使ってよじ登らないと上れない傾斜もあり、序
盤から難コースの連続です。そして山頂に着くと何故か第3ピークの武尊山が目の前
に見えます。

な・なんと!目の前に見えるのに、今から1200m下ろされて(その間第2ピーク越えも
あり)、大回りするというコース設定。しかもその間は、全行程最難関と言われるパート
です。鋭い岩と太い根っこだらけの垂直下り。フィンガーレスグローブは不可の訳がわ
かります。イヤな予感がしていたので軍手も用意し、迷わずガチ軍手を装着。
全体コーディネートなんて言ってられません。後続グループの中には、ブレーキ効か
ずの顔面ダイブや頭からの流血など、一体何の大会やら?

30kmもの間エイドが無く、その間数ヶ所の鎖場と梯子の直登~渡渉~泥地帯~12
kmのロード~1km以上の沢登りを経て、標高2100mの第3ピークの武尊山山頂へ
向かいます。途中に装備チェックも(38km)。ヘッドライト・ハンドライトの所持と点灯の
確認です。その後、予想通りに1Lのボトルの水も途中で完全に枯渇し、途中の沢で
汲み取りながらのセルフ給水。
そして、武尊山山頂(50km)に到着もエイドはまだ9kmも先。1200mを一気に下る途
中にあります。またまた水が無くなってきたところで、予想もしないトラブル発生!
60kmクラスのランナーと合流してしまい、梯子とロープ下りで大渋滞…。標高2000m
地点で1時間待ち。120kmのトップ集団は最優先されたようですが、さすがに50位集
団となると60kmクラスの最後尾に普通に並ばされます。

1時間のロスを経てやっと第3エイド(59km)に。エイドの無かったその間、約6時間。
そこで久しぶりの補給を済ませ、ドロップバックポイント(68km)に到着。この時点でス
タートから12時間経過(午後5時)、いよいよ夜間パートへ突入。
2ndシューズに履き替え、いよいよヘッドライトとトレランポールの投入です。まだ4つの
ピークが残っているため、空いている手はハンドライトを握らずにトレランポールを優先
させます。
ここから30kmの区間は500下り→400上り→500下り→550上り→550下り→450上り
→600下り、フラットなトレイルはほぼ皆無です。
思い返せば、この区間の後半80~95km区間が一番辛かった。夜の7時~11時の間
だったと思います。突然の睡魔に2回ほど襲われました。体が思うように動かず、一時
はフラットなトレイルも走る事が出来ない戦闘不能な状態に。カフェイン入りのジェルを
立て続けに吸い込みながら、林道脇で1分間ほどしゃがみ込み、ガクッとなったら起き
上がり、それを4~5回ほど繰り返し先へ進みます。(あまり長居してしまうと、熊出没情
報もリアルタイムに入っていたので、熊鈴も鳴らない状態での停滞は危険と察知)

やはり周りには同じ状況の選手も増え出し、右に左にフラフラになりながら林道を上る
超ドMなヤツも。あまりに危ない状況に見えたので、追い付いて「大丈夫か?」と声掛
けすると、「ねむふて、ねむふて~(眠くて、眠くて)」と。さすがに「ゆっくり林道脇で休
んだら?」とも言えず、やがて後方にいたはずの彼のヘッドライトは私の背中にも届か
なくなってしまいました。「必ず生きて帰るんだぞ」と心の中で呟く。そして睡魔区間を
何とか乗り越えて最終エイド(98km)に到着。この時点で18時間(午後11時)が経過。
「あと22kmやん」と言う声も聞こえてきますが、実はエイド出発直後に700m駆け上が
り、そこから10kmの間、細かいアップダウンが数十回も絶え間なく繰り返し、22kmで
累積2000Mをクリアしなければならない「最後のデザート」が待っているのです。

でもやっぱり超ドMたちは皆、デザートが大好きです。誰一人泣き言も言わず、エイド
から真っ暗闇のトレイルへ一人また一人と吸い込まれて行きました。さすが60位グル
ープ、エイドで長居するような者は一人もいません。皆そんなに早く食べたいのか?
私も本能的なのか、最後の山へ向かって勝手に足が前に進むのです。
そしてトレイルへ入り、最終パート22kmの始まりです。激しいアップダウンの連続とい
うのに、皆ガンガン攻め出します。
ロングトレイルの経験豊富な超ドM高速登山家たちは、ちゃんと計算して脚を残してい
たのです。少し順位は後退してしまいましたが、周りに引っ張られるように、走れる上
り下りはほぼ走り続けられました。約4時間もの間を。

最後の林道~ロードのラスト3km区間も戦友とともに4分30秒/kmのハイスピードで
超ドMさを見事に発揮できました。そして手前100mからフィニッシュゲートが見え出し
た。最後のコーナーを左に曲がる!
「鏑木さ~~~ん!、あなたがディレクションしたエキセントリックなコースを攻略して、
今ここに帰って来ましたよ~!」と心の中で叫びます!ゴールゲートが目の前に現れ
る!正面には「カメラマン」…、それと左手には…「計測チップ外す人かな?」あと右手
の女性は…、「横で一緒に並走してきた戦友の彼女か?」
そして、フィニッシュゲートを通過。 1…、2…、3…人?…。 え、3人だけ!?
「あれ、鏑木さんは…?」 そしてくるりとひと回り。絶対ここにはいないと確信。
時刻は午前3時32分。一番帰って来たらダメな時間帯でした。

同着の戦友が彼女との抱擁を終えるのを冷静に横で見届けた後、彼女の元から彼を
奪い返した。そして、ようやく彼と健闘を称えあう。ちなみにこのレースに一緒に来た
仲間のドM1号はひと足早く21時間36分でフィニッシュ!(1号はAAC所属ではありませ
ん) わたくし2号は1号の元へ結果報告に。そして3時間後、ドM3号・AAC青木猛裕も
25時間53分で見事フィニッシュ~!
ちなみに1号は翌日も三木ホースランドパークに地図読み練習会へ。そして「3週間後
のハセツネのいい練習になったわ~」と…。恐るべし1号…。

終わってみれば超ハードトレイルだった分、実に苦しくも楽しいロングトレイルでした。
が、自分自身今年の最重要レースにしていたはずなのに、ろくな練習もせずに挑んだ
事に猛省。 7月(210km)→8月(180km)→9月(86km) ほぼ土日祝だけ。あ~、情
けない…。今回そこに同レベルの選手たちと中盤以降に力の差が露呈した大きな要
因。もっと頑張ります。

話は変わりますが、この時期のトレイルレースはやっぱり信越五岳(110km)が人気!
快適に走れるトレイルとホスピタリティーの高さ!可愛いお洒落な女性ランナーも多く、
エイドも沿道も賑やか。まさに「フェス!」
一方、上州武尊山はドM野郎が己の闘志を鼓舞し、不退転の覚悟で臨む辛抱我慢の
獣道。 これぞ「祭り」(今年の女性の出走比率は信越五岳の20%に対し、上州武尊
山はなんと5%) 来年どうするって? 私? 勿論、信越五岳に行きたいで~~す!
(大会開催日:2014・9・21)

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