
第375号
UTMFに参加して。。。そして次へ!
2013年5月16日
AAC会員
宮武智恵子氏
ウルトラトレイルは 「旅 」と話すプロのトレイルランナー鏑木さんにゴールで 「お帰りな
さい 。」と出迎えてもらい感動のゴール。
本当に長い旅だった。旅の間には、いろんなことがあった。辛いと感じることはもちろん、
何度も波の様に押し寄せてきた。夜の闇の中、前にも後にも自分以外の明かりはなく
一人旅。足を滑らせ藪の中へ何度もつっこんで、これでもかと言う程ドロまみれになった。
2日目の夜は、強烈な睡魔に襲われ、幻覚を見ることも度々。立ったままストックを支え
にしてウトウト寝むりこけ、後ろに転倒しそうになりふと我に返る。そんなことを繰り返し
進む歩みだった。でもそんな中でも、不思議と 「辞めたい」と思うことは一度もなかった。
それは、スタートする時に見た雄大な富士山のパワーと、何より同じスタートラインに立
った多くのレース仲間が「離れていても頑張っている 」と思い続ける気持ちがあったか
らだと信じている。私には、ボランテイアを含める多くの人が支えてくれると思うだけで
励まされ、前に進む力をもらった。
そしてゴールを目前にした3日目の朝に見た富士山は、朝日に照らされ、今も目に焼き
ついているほどの絶景だった。無我夢中で走りぬけた3日間。この大会に参加したいと
決めてから1年が経つ。当日まで、多くの人たちにアドバイスをしていただき、可能な範
囲で少しずつトレーニングを積み重ねてきた。今回初めての100マイルレースで、大き
なトラブルはなく完走を果たしたが、レースはそう甘くはない。
いくらシュミレーションし準備したとしても、天候や当日の体調などを含め、補給のタイミ
ングや睡眠に至るまで、自然の中では、想定外のことが起きる可能性がある限り、常
に対処できる柔軟な知識と体力を持つ必要性を感じた。100マイルレースでは、想定
外のことだらけだ。大会側から、何度も全選手に向け発信されたメッセージの意味が、
身をもって感じられただけでも、自分にとって大きな意義あるものになった。
だけどトレイルは楽しい。これまで何をしても確かな自信が持てず、常に何かがむしゃ
らに探し物をしているような、そんな不器用で滑稽な私である。トレイルを始めるまでは、
タイムや順位で一喜一憂し、時には都合の良い言い訳を考えたり。とにかく他人と比べ
られるのが嫌だった。
でも山と出会い、四季の中で風の音や、鳥の声、草木の移り変わりにふと足を止めて、
五感で感じる楽しさを知った。そして何も考えずに、ひたすら走っていた懐かしい子供の
頃をふと思い出した。 「辛くなったら歩いてもいい。止まってもいい。」そんなふうに心
に少し新しい風を入れたら、自分の中に今までとは違う変化を感じるようになった。
大会が終わり、今回の旅を振り返る時、ふと目にとまった、三浦雄一郎氏の 「私はな
ぜ80才でエベレエストを目指すのか」という本の中に、「あなたのエベレストはどこに
ありますか?」との問いかけがあった。エベレストとは、それぞれが目指す目標のことだ。
自分だけの生き方。それは、どんな苦境の中にあっても、その辛さには必ず意味があ
り、乗り越えていける力になるのだと。そして、三浦氏は 「目標に向かう幸福感をザッ
クに入れて、私のエベレストに向かいます。」と締めくくっている。なんと素敵な言葉だ
ろう。ならば、さあ!!私も、新たなエベレストに向かって一歩前進したいと思う。
その歩みは、決して焦らず、楽しむことを前提に、私らしく。
参考:UTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)とは富士山山麓の総161kmを一周するレースです。
(大会開催日:2013・4・26~28)