
第568号
第31回サロマ湖100キロウルトラマラソンを走って!
2016年7月25日
AAC会員
樋上 慎二氏
1:はじめに
この4月に横浜から大阪に転勤し、5月からAACに参加させていただいております樋上
慎二(ひがみしんじ)と申します。平成22年から北海道のラン仲間と一緒にサロマ湖100
キロマラソンを走り続けています。今年で無事6回目の完走を果たすことができました。
活動報告を兼ねまして、今大会の様子等を紹介したいと思います。
2:湧別のスタートラインに立つまで
移動には、新千歳までは飛行機、札幌からは都市間高速バスを利用しました。遠軽(
えんがる)で路線バスに乗り換えて湧別(ゆうべつ)支所で降りると、丁度ウェルカムパ
ーティーの開始時刻です。宿はラン仲間が借りてくれたバンガローです。スタート会場
周辺は勝手にテント泊する人も多くいます。近くには「チューリップの湯」(天然温泉)も
あり、コンビニもあります。午後9時には就寝しました。
午前2時に起床。午前3時にバンガローを出発し、午前3時半にスタート会場に入りまし
た。オホーツク沿岸は丁度夜明けです。これまでの大会の天気は、朝夕肌寒く昼暑い
年が多かったのですが、去年に続き今年は朝から1日中寒く、加えて梅雨のない北海
道なのに、朝と夕方に雨がぱらつきました。ウェルカムパーティーでは低体温症に注意
との言葉がありました。蝦夷梅雨おそるべし。気持ちを振るいたたせ、湧別のスタートラ
インに立つ3500人の中に入っていきました。
3:芭露(ばろ)を過ぎ、フルマラソン地点のモニュメントまで
スタートロスは長い人でも2分余り。私はキロ400秒±10秒のペースを50キロ地点まで
維持します。5キロで再びスタート会場に戻り、そこから10キロ地点までは真っ直ぐです。
天気がよければ、鳥の声も聞こえる雄大な区間ですが、今年は雨で景色を楽しむこと
ができませんでした。10キロ地点からはサロマ湖の砂州沿いの林の中のコースで、19
キロ手前で岬に出て折り返します。この辺りではエール交換が可能で、地元の人達か
らの勇壮な太鼓の応援もありますが、寒くて調子が上がりません。ひたすら忍耐です。
25キロ地点あたりには公園や駐車場のトイレがあります。大会のエイドは充実しており、
50キロ地点以降は2.5キロ毎に給水エイドがあり、5キロ毎のエイドではたらふく食べら
れます。
28キロ地点で再び湧別の畜産地区に入ります。32キロ地点以降は、交通量がそれなり
にある道路脇を走り、35キロ地点から登り降りが始まります(それまではフラット)。
私は登りが得意なので、前の選手を次々に追い抜きました。するとようやく調子が上向
き始め、38キロ地点の芭露の街でランナーズハイに到達しました。
芭露以降のエイドではスイカやオレンジが振る舞われます。筋肉のけいれんを防ぐため
にしっかり補給しました。街外れの橋を渡ってしばらく行くと40キロ地点です。湖畔をしば
らく走ると、フルマラソン地点のモニュメントがあります。スタート付近やワッカ折返しでコ
ースがいくら変わっても、このモニュメントだけは固定され、北極星のようにいつもそこに
あります。近くのサロマンブルーの方と会話をしました。「ようやくウルトラが始まるね」
「ここから目を覚ましていきましょう」などと・・・
4:急坂、エイドステーション、魔女の森、サロマニアンの大漁旗など
45キロ地点手前で一旦湖畔を離れます。今年も50キロ地点手前の給水エイドだけは被
り水と飲み水の区別が付かず無人でした。50キロ地点でようやく半分の距離です。しか
し油断は禁物、目の前には急坂が。攻める気持ちで登り切りました。しばらく走ると、サ
ロマ湖畔と54キロ過ぎのエイドステーション、ホテルグランディアが見えます。スタート直
前に預けた補給品を目指して走ります。雨に濡れたラン手袋の替え。エナジージェル。
エナジードリンク。ステーション入口ではボランティアがゼッケンナンバーを読み上げてく
れるので、すぐに補給袋が手に入りました。手早く補給し、エイドにあるおにぎりを頬張り
ます。熱い麦茶もありました。5分弱でエイドステーションから離脱。ぐずぐずできません。
坂を上ったり下ったりで、58キロ過ぎて再び湖畔に出て、しばらく行くと60キロ地点に到
達しました。6時間45分。関門時間とは別の、現実的な完走限界は7時間10分です。25
分の余裕ができ、ようやく完走が見えてきました。
坂を登った61キロ地点手前で、登り降り区間は終わりです。湖畔に出てしばらく走ると、
”魔女の森”と呼ばれる区間になります。暑い年では森の日影を求めて歩きがちになり
リタイアに至ることから来た名前です。ここの廃漁村には、余り知られていない公衆トイ
レがあります。最初で唯一のトイレ休憩をとりました。(10分弱)
魔女の森を抜けると俄然私設エイドが多くなります。コーラやキュウリ、トマトをご馳走に
なりました。私設エイドのひとつに斉藤商店があります。今年は熱いおしぼりをいただき
ました。そして旅館サロマニアンを通り過ぎます。大会好きが高じてこの場所に旅館を
開設したとか。例年大漁旗を振って応援してくれます。70キロ地点を超えて、ランナーズ
ハイも過ぎ去り、徐々に歩きが入ってきます。73キロ過ぎの鶴雅(つるが)リゾートホテ
ルでは、名物のお汁粉をいただきました。
5:ワッカ入りまで、海沿いの原生花園、そしてビクトリーロードへ
鶴雅リゾートから80キロ地点手前までは、オホーツク原野の風景が広がっています。
足の甲が徐々に痛くなってきました。ワッカ原生花園を目指してひたすら前進します。
ハマナス、エゾスカシユリ、自然のままの入り江。幻の中のワッカの風景は神秘的です。
ようやく79.5キロ地点のエイドにたどり着きました。ここは丁度折返し97.5キロ地点で、
サブテンを目指して激走するランナーを目にします。自分はゆっくり補給です。ようやくエ
ール交換をする余裕が出てきました。急坂を登って80キロ地点を過ぎ、森を抜けると、
目の前に原生花園が広がり、遠くにワッカ折返しが見える絶景ポイントがあります。
オホーツクの激しい海風が細かな雨粒と混じり、身体に吹き付けます。苦痛は遠くに過
ぎ去って、再びランナーズハイの状態になりました。細かな坂を登り降りし、原生花園の
道を進みます。天国を歩いている気分です。89キロ手前で折返し地点になりますが、
今年は砂州の間を渡る傾斜の急な橋の向こう側まで行きました。日頃から尊敬してい
るラン仲間がペースを上げ、92キロ地点手前で私をキャッチアップしてきました。ここで
私が自分のペースを崩すと筋肉がつる危険もありますが、今年の自分には並走する元
気が残っていました。「あと3キロくらいで今年のワッカが終わっちゃいますよ」「まだまだ
走っていたいですね」。しみじみと残りのワッカを楽しみました。
95キロ地点過ぎで原生花園を抜けると、キロ表示が赤色に変わり、残りの距離が一緒
に示されます。97.5キロ地点の最終エイドを過ぎると、あとは残り2キロちょっと。常呂(
ところ)の街中に入れば、ビクトリーロードです。沢山の知らない人達から暖かい歓声を
いただき、自然と涙がこぼれてきました。自分に語りかけ、並走する畏友とも話します。
今回もサロマでゴールできた。また1年、走る楽しみを味わうことが許された。いま感じ
ている走る楽しみを見失わない限り、次のゴールも必ずやって来る。
そして12時間05分。歓喜のダブルゴールでした。
(大会開催日:2016・6・26)